禁断兄妹
第28章 俺にとどめを刺せ ※※柊side※※
会話もなく
ただ黙々と萌を伴って歩く。
せめて家まで送る
半狂乱の今の俺にできることは
それぐらいしかない。
俺の態度に最初は戸惑っていた萌
そのうちに
黙って俺の後ろを歩いて
黙って電車の中
俺の隣で小さくなって俯いてる。
背中と半身に痛いほど感じる
萌の失望の気配
身が切られるように辛い。
消し飛んでしまいそうなひとかけらの理性
しがみつくのが精一杯で
言葉を交わすことも
顔を見ることさえできない
見てしまえば終わりだ
お前を無事には帰せなくなってしまう
あんなことをした俺に
会いたくはなかったはず
それでも父さんの為にとお前はやって来た
その心を踏みにじるわけにはいかない
お前の為だ
萌
俺にはこうすることしか
できないんだよ