禁断兄妹
第29章 一晩中、いちゃつきたい
俺は萌の手を引いたまま
つけたばかりのリビングの明かりを消して
窓際の小さなテーブルランプをつけた。
蝋燭を模したそれは
まるで炎のようにゆらゆらと揺らめいて
広い室内を仄かに明るくする。
「外ではもうしないけど‥‥中ではするから‥‥」
繋いだ手を引き寄せて腕の中に囲う。
もう躊躇わなくていい
だって
彼女だし
さっきから俯いたままの萌
その細い顎に指をかけて上向かせた。
泣いて赤くなった目尻
色っぽい
軽く音を立てて
その瞼に口づける。
「‥‥俺の名前呼んで‥‥?」
「え‥‥」
「知ってるだろ‥‥下の名前」
瞳が泳いで
困ったような顔。
「え、そんな‥‥」
口ごもる萌
その困った顔
好きだ
「‥‥早く言えよ」
長い髪を耳にかけて
息を吹きかけるように囁くと
萌はぴくんと身体を硬直させる。
「しゅ‥‥柊‥‥さん‥‥?」
「‥‥さん付け?」
「‥‥柊、君‥‥」
「くん、かよ」
思わず笑ってしまう。
俺の笑い声が耳を刺激するのか
萌の表情は少し苦しげで
危うくて
俺を誘う。
「‥‥呼び捨てにして欲しいんだけど」