禁断兄妹
第29章 一晩中、いちゃつきたい
俺の言葉に
萌が意を決したように息を吸い込む。
「‥‥‥‥しゅう‥‥」
小さな小さな声
胸の奥
カリリと甘く引っ掻かれて
身悶えしそうな気持ちを抑えながら
「‥‥聞こえない」
耳元に唇を寄せて囁く。
「‥‥し、柊‥‥っ」
少しだけ大きくなった声
嫌になるほど
可愛い。
もう少し意地悪をして困らせたいのに
顔がにやけて
駄目だ
身体を起こして覗き込んだ萌の顔
緊張した面持ちで
う、の形のまま固まってる唇
「よくできました‥‥」
微笑みかけて
チュッ‥‥と音を立てて口づける。
首をすくめ
きゅっと目を閉じる萌
可愛い
「これから二人きりの時は、そう呼んで‥‥」
「‥‥うん」
恥ずかしそうに頷くその顔が
初々しい
そう思った時
俺はふと
あることを思い出した。
「そういえば‥‥萌、彼氏‥‥いたよな」