禁断兄妹
第30章 お仕置き
「ありがとうなんて‥‥私は何もしてないよ」
萌は恥ずかしそうに下を向いて
止めていた手を動かし始める。
「萌は、生きていてくれるだけでいいんだ‥‥お前は俺の光だよ」
「お兄ちゃん‥‥なんだかすごいね‥‥」
「え?」
「そんなこと言われるとドキドキして、手元が狂っちゃう‥‥」
俯いて頬を染めてる萌
「手、切るなよ」
俺は笑いながら立ち上がると
冷蔵庫からもう一本缶ビールを出して
そのままキッチンに入った。
「あー、立ったまま飲んで‥‥行儀悪い」
変わらないその言い方
可愛い
「何作ってるの?」
「生姜焼きとサラダ‥‥とお味噌汁」
「豪華だな」
俺はビールを口に運びながら
萌の横に立って手元を覗く。
「‥‥このメニューは和虎の話にヒントを得てるの?」
「え、ど、どうして?」
「違うならいいんだ‥‥なんとなくね」
味噌汁の具が茄子
サラダの中にピーマン
和虎に俺の嫌いなものを聞いたに違いない
ツートップを持ってくる辺り
お前確実に俺を試そうとしてるだろう
「何を考えてるのか‥‥萌はホント謎だな」
本当に俺のこと好きなのかよ
思わず笑ってしまう。
「えっと、お腹が空いてないなら生姜焼きだけでも食べて‥‥」
もごもごと呟く萌
俺がありがとうとか光だとか言ったから
罪の意識が芽生えたか
「まったく‥‥可愛いね、萌ちゃんは‥‥」
俺はビールをその辺に置くと
後ろから萌の腰に両手を回した。