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禁断兄妹

第31章 同じ世界を生きよう


心と身体
萌の全てが欲しいけれど
想いが通じた今
口づけるだけで
触れるだけで
俺は萌を感じることができる。

俺とセックスをしてもいいと思ってくれたその心だけで
萌の愛を感じ取れる。

『俺はそれで十分だよ』

そう言えばきっと萌は
その先まで求めはしないだろう。

でも
闇夜に凛として浮かぶ月は
俺の熱情を冷たく照らし出す。

もう戻れないところまで
萌を連れて堕ちてしまいたい

二人だけの秘密の契りを
今すぐにでも交わしたい

その想いは変わらずに
俺を強く支配している。

これは愛なのか

俺のエゴじゃないのか

答えが出せずに何度もループする思考
俺は頭をかきむしった。


「この期に及んで‥‥」


俺は煙草を揉み消すと空を見上げた。

美しい満月

祭りの夜
街をさまよった夜
そして今
夜空を見上げる俺の気持ちはいつも違っているけれど
俺の心にはいつだって萌
お前がいる


俺真剣なんだ
お前を真剣に愛しているんだ

だから
迷うんだよ

迷ってしまうんだ



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