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禁断兄妹

第31章 同じ世界を生きよう


「身体、冷えちゃうよ‥‥」


ガラス窓が開いて
萌がおずおずと顔を覗かせた。


「大丈夫。熱いくらいだから」


笑う俺に萌も表情を和らげる。


「風邪引いちゃうよ‥‥ね、入って」


俺の手首をとって引っ張る。


「はいはい」


「ハイは、一回ですよ」


「はい‥‥」


俺を部屋の中に入れた萌は又キッチンに入り
懲りずに料理の続きを始める。

冷蔵庫から新しいビールを出しながらさりげなく様子を伺うと
さっき切った茄子を平然と味噌汁の鍋の中に入れた萌
俺はビールを吹き出してしまった。


「きゃっ、やだ、かかったーっ」


「だからお前さあ‥‥」


思わず笑ってしまう。


「え?」


「いや‥‥俺の彼女は困った人だなあと、思って」


ビールを片手に
俺は又萌の腰に手を回す。


「あっ。またぁ‥‥っ」


「気にしないで続けて‥‥二人羽織みたいなもんだよ」


「よくわかんない‥‥」


さっきまでの迷いにまだ答えは出ないけれど
今はこうして
じゃれあっていたい‥‥

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