禁断兄妹
第32章 心の準備
確かに私
ちゃんとしたいって言ったし
さっきのお兄ちゃんの言葉にも『はい』って答えたけれど
でもこれからすぐなんて
そんな
まだ心の準備が
「え、あの、せっかく作ってるし、ご飯を食べてから───」
「それは明日の朝に食べるよ」
「でも、お肉に下味つけちゃったし、後は炒めるだけなんだよっ」
思わず必死になって説明すると
お兄ちゃんは小さく笑って
天を仰いだ。
「煽っておいてお預けかよ‥‥マジか」
独り言のようにそう言って
私から離した両手で髪をかきあげ笑う。
「俺、がっつき過ぎなの?‥‥すごくカッコ悪いんだけど」
苦笑いしながら
私を優しく睨む。
その表情に
またドキンとしてしまう。
「‥‥お兄ちゃんは、カッコいいよ‥‥」
昔からずっと
本当だよ
「萌って小悪魔系だったんだね」
「え?」
お兄ちゃんが微笑んだ形のままの唇を
私の耳元に寄せる。
「悔しいけど‥‥メロメロ‥‥」
熱い息が耳にかかって
そしてあっという間に唇を奪われる。
静かなのに
熱くて
でも優しくて
唇から溶けていってしまいそう
メロメロなのは
お兄ちゃんだけじゃ
ない
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