禁断兄妹
第32章 心の準備
「他のことならもう少し上手く答えられるかな‥‥」
「じゃあ‥‥お兄ちゃんはいつから私を女の子として好きだったのか、聞きたいな‥‥」
回した手を引いて俺から身体を離した萌が
俯いたままぽそっと呟く。
「‥‥そういう可愛い質問、いいね」
照れている様子の萌に微笑みかけて
頭を撫でるようにその美しい髪をかき上げた。
「最初から‥‥初めて会った時から、萌は愛すべき一人の女の子だったよ。前にも言ったけど、俺はお前を妹だと思ったことはない‥‥」
さらさら
指の間を水のように流れる髪
「でもね、萌にちゃんと告白したいって思った決定的な日が、ある」
「いつ‥‥?」
「お祭りの日」
俺の言葉に
萌がふっと顔を上げた。
「あの日‥‥萌の浴衣姿やお化粧した顔が可愛くて、眩しかった。帰り道で、ありがとうって言ってくれただろ‥‥抱き寄せて、好きだよって言いたかった‥‥言わなかったけど」
「どうして、言ってくれなかったの?」
「再婚のことを口止めされていたせいもあるけど、本当は怖かったんだ‥‥萌がショックを受けて俺を拒むかも知れないと思うと、言えなかった‥‥だらしのない男だね」
「‥‥」
「それからしばらく悶々として‥‥なんとなくお前を避けてて‥‥」
俺は思い出し笑いをした。
「お祭りの日とは違う意味で、忘れられない日がある‥‥黙ってるつもりだったけど、言ってしまおうかな」
「‥‥?」
不思議そうな顔をしている萌
「お祭りの何日か後‥‥萌が熱出したことあっただろ」
「あ、うん‥‥」
「あの日‥‥萌の部屋で久しぶりに会ったら、萌がすごく大人っぽく見えて‥‥ドキドキしてたら偶然胸が見えたんだ。それですごく興奮して‥‥お前とのいやらしいこと想像して、部屋で一人でしちゃったんだ‥‥」
「‥‥!」
「萌を初めて女として意識した、忘れられない日だよ‥‥以上、ナイショのお話‥‥」
暗がりの中でもわかるほど萌の顔が赤くなって
触れ合っている身体の体温が上がったのを肌で感じる。
「‥‥私、も‥‥」
俺を見ていた萌がぎくしゃくと俯いて
小さな声を出した。