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禁断兄妹

第37章 永遠の愛を


そう言われてみると
確かに俺は笑顔が少ない。

笑ったとしても不敵に微笑むのが定番で
求められるのは
決まって目力を強調した強く睨むような冷たい表情だし
それが俺の武器だとも思っていたから。


「じゃあ、撮りますよー」


そう言いながら
カメラを構える仕草のまま後ろに下がった萌が
砂に足をとられたのか
ぐらりとよろけたかと思うと派手に尻餅をついた。


「きゃあっ」


「ハハッ、おい大丈夫かよ」


あまりにも豪快な転び方に俺は思わず声を上げて笑ってしまい
そんな俺を見上げて
びっくり顔だった萌も笑い出す。


「悪い、腹から笑った」


俺は笑いながら屈みこんで
萌の脇に手を入れて抱き起こした。


「どこか痛くしてない?」


「うん、砂で大丈夫だった」


「すごいコケ方だったな。パンツ見えたよ」


「えっ」


「ははっ、嘘」


「もー‥‥」


萌のコートについた砂を払う俺に


「カシャ」


萌がシャッターを切った。


「良かった‥‥」


「え?」


「柊、ちょっと元気なかったから。そんな風に笑ってくれると、嬉しい」


萌は俺を見上げたまま
照れたように笑った。


「柊が笑ってくれるなら、何回転んだって、いいんだ」


そう言って萌はまたカメラを構え
俺から後ずさりするように離れていく。


「うん、その優しい笑顔、いいですよー!カシャ」


病院を出てからここまで
俺は普通にしているつもりだったのに


「じゃあ最後の一枚いきまーす!自由な感じでどーぞ!」


笑う萌の後ろに広がる海が
鮮やかに輝く。

透き通る風は光を帯びて
萌の髪を揺らす。

小さな耳に
光るイヤリング

眩しい


───柊が笑ってくれるなら、何回転んだって、いいんだ───


隣でずっと笑っていて欲しい
そう思っているのは
俺だけじゃないんだ

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