禁断兄妹
第40章 二人の守護者
緊張が解けたんだろう
俺の胸にしがみついている萌は
今にもしゃがみこんでしまいそうだった。
「無茶するなよ‥‥びっくりした」
「だって、心配、で‥‥」
「でも迎えに来てくれて助かったかな‥‥あいつ、しつこくて」
俺の言葉に顔を上げた萌の顔は
真っ青だった。
「やっぱり何か言われたの?何かされたの‥‥?」
何か言われたのは確かだが
何かしたのは結果的に俺の方だった。
「お引き取りくださいって、止められたよ。どうしようかなと思ってたら、萌が来た」
蹴りを入れたことは伏せて明るく言ったつもりだったれけど
それでも萌の瞳は見開かれて
言葉を失ってしまった。
俺は腕の中で固まっている萌をそっと抱き上げると
靴を脱ぎ捨てて家の中へと入った。
「あ、柊っ、私靴を脱いでない‥‥っ」
「後でいいよ」
通り過ぎる俺の部屋と萌の部屋
ドアが開き照明がついている。
「‥‥?」
キッチン、ダイニング、リビング
同じように全て照明がついて
暑いほど暖房が効いている。
「なんだ‥‥?」
ソファに萌を下ろし
靴を脱がせながら覗き込んだ顔は
まだ青白い。
「暗いと怖かったし‥‥寒かったから‥‥」
叱られた子供のように俯く萌の服は部屋着ではなくて
別れた時のワンピースのままだった。
髪を撫ぜると
指に潮風のベタつきと砂の感触。
「風呂も入ってないのか‥‥あ、飯もか?」
萌は力無く頷く。
想像以上に萌は精神的ダメージを受けていた。