禁断兄妹
第40章 二人の守護者
灰谷にどんなことを言われたのか気になる。
全て聞き出したかったが
もう少し落ち着いてからのほうがいいだろう。
「‥‥とりあえず風呂をいれるから、入るといい」
脱がせた靴を玄関へ戻しに行こうと立ち上がると
萌も立ち上がる。
「一緒に行く」
「いいよ。俺がやるから、座っていなさい」
「違うの、一人になりたくないの」
萌が俺の手を握る。
その手が冷たい。
「‥‥じゃあ一緒に行こうか」
微笑みかけて
指を絡めるように繋ぎ直す。
「ねえ」
「うん?」
「お父さん‥‥大丈夫だよね‥‥?」
小さな声
「病院が変わったばかりだから、身体が慣れないんだろう。母さんもついてるし、心配するな」
頷くように下を向いた萌
しばらく黙った後
又俺を見上げる。
「‥‥灰谷さん、家まで追いかけて来ないよね?」
更に小さな声
寄せられた眉の下
怯えるように瞳が揺れる。