禁断兄妹
第45章 灰谷とタカシ
「いつから付き合ってたの?お祭りの日は、彼氏いないって言ってただろ」
「あの何日か後に告白されて‥‥それで付き合い始めたの‥‥」
萌はあまり話したくないのか
もごもごと呟いた。
「彼のこと、好きだったのか」
「部活が同じで、みんなの憧れの先輩なの。優しくて面白い人で‥‥」
「好きだったのかって、聞いてるんだよ」
重ねた俺の言葉に萌は少し黙り込んだ。
「好きだったのは、ずっと柊だよ‥‥昨日も言ったけど、私は小さい頃から、家族愛以上の感情を柊に持ってたんだと思う」
「じゃあどうして付き合ったんだ?告白されたからって、別に付き合わなくたって‥‥」
「あのね‥‥お祭りの日に、私に告白したかったって、昨日教えてくれたよね。
でもね、その時の私にはそんな風に思ってくれてたなんて全然わからなくて‥‥結婚がどうとか、理想の人だとか変なこと言って、すごく困らせちゃったって、思ったの。だから‥‥」
「え‥‥?」
思いもしなかった話の展開に
頭が混乱する。
萌はふふっと笑った。
「柊、じーっと私を見ながら、黙っちゃったでしょう?私には、すごく戸惑ってるように見えたの。妹に本気っぽくそんなこと言われて扱いに困ってる、みたいな。だから無理やり話題を変えた記憶があるけど‥‥本当は振られた気分で、悲しかったな」
萌の話はあまりにもその時の俺の感情とすれ違っていて
ただ驚くしかなかった。