禁断兄妹
第45章 灰谷とタカシ
「ずっと抱いてた擬似恋愛みたいな感情は、お兄ちゃんを困らせるだけだからもうやめようって、あの日、はっきり思ったの。そんな時に先輩から告白されて‥‥先輩なら、ちゃんと好きになれそうって思って、お付き合いすることに決めたの‥‥」
「ごめん、全然思いもしなかった話で俺混乱してる‥‥それ本当?」
「うん‥‥本当」
あの日
言葉にできないほど嬉しかった俺の真意は
萌には全く伝わっていなかった。
好きだと言ってしまえば良かった
そうすれば
萌に彼氏なんてできなかったのに。
「そうだったのか‥‥ごめんな、あの時確かに俺驚いたし、何も言えなかった。でも嬉しかったんだ、本当に。俺はお前が、好きだったから‥‥」
「うん‥‥今はもう柊の気持ちも、自分の気持ちも、全部はっきりわかる‥‥昨日と今日で、はっきりわかった‥‥」
透明で温かな声
萌は遠慮がちに俺の腕をそっと撫ぜた。