禁断兄妹
第45章 灰谷とタカシ
「もしあの時、俺が好きだって言ってたら、どうなってただろうな」
「うん‥‥どうなってたんだろう」
俺は無限に枝分かれする道を思った。
「タカシとは付き合ってなかった?」
「うん‥‥」
今この瞬間も
口にする言葉一つで道は選ばれ
選ばれなかった道は閉ざされ
振り返れば一本の道になっている。
「もし萌がタカシと付き合っていなければ、俺は黙って身を引いてたかもしれないな‥‥」
血が繋がっていると知った翌日
和虎の部屋のベランダからぼんやりと街並みを眺めながら
もう会わないと決めた萌の
穏やかな幸せを願っていたことを思い出す。
「俺は基本的にお前の幸せを願ってるから‥‥あいつとのキスを見ることがなければ、嫉妬に狂うこともなくて‥‥お前を無理矢理抱くこともなかったって、気がするよ‥‥」