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禁断兄妹

第45章 灰谷とタカシ


「あの時は無理矢理だったとしても、今は、大事な思い出‥‥」


肩越しに聞こえた小さな声
萌は俺の腕ごと
自分の身体をそっと抱き締めた。


「あの夜がなければ、柊の本当の気持ちもわからなかった。離れてる間に、柊のことを心と身体全部で想うことも、なかった‥‥」


「萌‥‥」


「全部、綺麗に繋がってるの‥‥運命だったんだって、思う」


萌の言葉に
胸の中
散らばっていた欠片が繋がる。

この身を砕かれるような絶望の夜も
光に満たされた幸せな朝も
星座のように繋がって
光り輝く。


「だからね‥‥今は灰谷さんのことが怖い。すごく怖いよ。でもいつか振り返れば、きっと綺麗に繋がるんだと思う‥‥」


静かな優しい声に
萌と過ごした時間だけじゃなく

母さん
父さん
白い街
美弥子
和虎

遡って
何もかもが繋がって
胸の中で輝く。

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