禁断兄妹
第48章 あなたを許さない
灰谷はほっとしたような表情で萌を見つめながら
更に頬を緩める。
隣にいる俺が見えていないのか
「萌。送るつもりだったけど、ごめん。一人で行って」
「えっ‥‥」
「遅刻するよ。行きなさい」
「‥‥はい」
「いってらっしゃいませ」
「いってきます」
駆けていく後ろ姿が見えなくなって
向かい合っている俺達の間の空気が
冷え冷えとしたものに変わる。
「‥‥何か用か」
「話がある」
それだけ言って
ついて来いとばかりに灰谷が向かったのは
あのマンションの死角だった。