禁断兄妹
第48章 あなたを許さない
「人気に乗じて女優やらモデルやらとっかえひっかえ‥‥その上あんな小さな妹にまで手を出して‥‥最低な男だ。いや、悪魔だ‥‥悪魔の所業だ」
怒りに震える低い声を聞きながら
俺はマフラーを巻き直し小さく笑った。
「それこそ下衆な想像力だな‥‥痒くて自分で引っ掻いた所が赤くなってるだけだろ。マフラーは寒いから借りただけだ」
今日の朝
鏡を見て痕に気がついた俺は
父さんのクローゼットからマフラーを引っ張り出した。
どうやら目もいいらしい。
しかし痕に気づかれたことよりも
一瞬で間合いに入られたことに俺は驚いていた。
身構えていた訳じゃないが十分な距離はとっていた。
灰谷の本業は格闘家だと萌は言っていたが
本当なのかも知れない。