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禁断兄妹

第49章 美弥子


病室に戻ると
巽さんは窓際に佇んで腕を組み
見下ろすように外を見ていた。

私に顔を向けると
穏やかな微笑みを見せてくれる。


「二人とも、帰ったみたいだな」


「はい」


「仲良く手を繋いで帰って行ったよ」


「えっ?」


「‥‥冗談だよ。仲良く、は本当のことだけどね」


巽さんは小さく笑うと
又窓の外へゆっくりと向き直った。

この部屋の窓からは病院の正面玄関が見える。
巽さんが見下ろしていたのは帰っていく柊君と萌の姿だったんだろう。


「‥‥びっくりしました」


巽さんが滅多に言わない冗談を言ったことに私は驚いていた。

柊君が来てくれて
和解できたことで心が晴れた
そう考えていいんだろうか。
そうだったら本当に嬉しい。

隣に並んで
窓の外を眺める巽さんの表情をそっと窺う。


「そうだよな‥‥びっくりするよな‥‥」


独り言のようにそう呟いた横顔は
私に穏やかな笑顔を見せる前と同じ
深い物思いに沈んでいる。

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