禁断兄妹
第49章 美弥子
動かない瞳
物憂げに傾けられた首
やっぱり柊君と何かあったんだろうか。
いい時間を過ごせた
そう言って微笑んでいたのに。
「あの、私‥‥柊君にきちんと謝ることができました。もういいって、言ってくれました」
巽さんが
ふっと視線を私に移す。
「巽さんのこと、頼むよって言ってくれました。私に、ちゃんとご飯を食べるようにも」
「‥‥そうか」
巽さんの表情が和らぐ。
「これで私の罪が、本当に許されたとは思わないけど‥‥暖かい言葉をかけてくれた柊君には、感謝の気持ちでいっぱいです」
「美弥子」
「はい」
「人の許しは、ちゃんと受け入れなさい」
巽さんは静かにそう言うと微笑んだ。
「許すなんて口だけなんじゃないかって、身構えてしまうものだけど‥‥素直に信じて、受け入れてみなさい」
穏やかな優しい声
「はい‥‥」
「そうすることで、お前もまた、人を許せるようになる‥‥巡るんだよ」
私の背中に置かれた大きな手のひらが
ぽん、ぽんと優しく動く。
「そもそもお前に罪なんてないけどな‥‥悪いのは全部俺だ。何度も言ってるだろう」
声を出すと泣いてしまいそうで
私は唇を強く結んだまま頷いた。