禁断兄妹
第51章 口に出せない想い
「この辺りまで来れば、もう歩いても大丈夫かな」
学校が見えるところまで来ると先輩は足を緩めた。
歩いてる生徒も結構いて
その中に私たちも紛れる。
ほとんど息の乱れていないタカシ先輩
肩で息をしている私を見て悪戯っぽく笑う。
「一ノ瀬はちょっと運動不足なんじゃないか?」
「だって、マラソン苦手なのに‥‥先輩が走りながら、色々話し掛けるから‥‥」
「あはは、ごめん」
走っている間も先輩は明るく喋りかけてくれて
部活のことを色々話している内に私の緊張も解けていた。
「久しぶりに二人で話せて、嬉しかったからさ‥‥喋り過ぎた」
先輩の言葉はその裏表のない性格を現すようにいつもストレートで
ドキッとしてしまう。
───はっきりと口に出せない想いなど、ろくなものじゃない───
鈍い痛みと共に
灰谷さんの言葉が胸に浮かんだ。
先輩も
そう思うのかな