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灰谷さんが柊に浴びせた言葉は
どれも耳を塞ぎたくなるような厳しいものだったけれど
その中でも一番胸をえぐられた言葉


「先輩‥‥一つ聞いてもいいですか？」


「うん？」


「‥‥はっきりと口に出せない想いって、どう思いますか‥‥？」


先輩の瞳がぱちぱちっと瞬く。

変なこと聞いちゃった

後悔するけど遅い。


「どうって？」


「えっと‥‥ろくなものじゃない、とか、そう思いますか？」


「うーん、俺は何でも口に出しちゃうほうだからなあ」


先輩は髪をかき上げながら空を見上げた。


「一ノ瀬さ、俺に別れて下さいって言いに来た時、理由を教えてくれなかったよね」


「‥‥」


「俺は知りたかった。でも話してくれなかった一ノ瀬のこと、ろくなものじゃないとは、思わない。きっと口に出せない訳があったんだろうなあって、思ってる」


「ごめんなさい‥‥」


「あ、根に持ってる訳じゃないから、そこは誤解しないで。正直、今でも知りたいとは思うけどね」


先輩の涼しげな笑顔は
韓流の宮廷ドラマに出てくるような若き皇子をいつも私に連想させる。


「今でも知りたいって言うより‥‥俺、今でも一ノ瀬のこと、好きなんだ」