禁断兄妹
第51章 口に出せない想い
その日は授業中もお昼休みも
ここ数日の嵐のような出来事をつい思い出して
私の心臓は不意にスピードを上げては燃えるように熱くなったり
息苦しいほど締めつけられて冷たくなったり
タカシ先輩の言葉を思い出してぼんやりしたり
何をしていても上の空。
たかみちゃんに
萌ちゃんの顔、赤くなったかと思ったら青くなったりしてるけど風邪なんじゃない?!
なんて真顔で心配されてしまうほど。
柊がくれたいくつもの愛の言葉
永遠を誓った煌めく海
優しく包まれて狂おしく揺られた甘い夜
思い出しては胸も頬も熱くなって
でも
───その自慢の顔を叩き潰してやる───
灰谷さんの非情な言葉が
その熱をあっという間に奪う。
その繰り返しで一日は瞬く間に過ぎて
放課後
病院から家に帰って来たというお母さんのメールを見た私は
今日は部活をお休みさせてもらって家に帰ることにした。
お母さんにすごく会いたかった。
早足で帰って来たマンションのロビーにいたのは年配のコンシェルジュさん
灰谷さんは今日の朝までのシフトだったからいないとわかっていたけれど
思わずほっとする。
私は駆け足でエレベーターに乗り込んだ。