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禁断兄妹

第51章 口に出せない想い


部屋着に着替えた私は
ダイニングテーブルの上でお母さんが伸ばした生地をクリスマスモチーフの型で抜いていく。

私の小さい頃から家にある
年に一度か二度この季節に使う型
去年の今頃もお母さんと一緒にクッキーを焼いた。

ツリー
スノーマン

この型は変わらないけれど
あの時と今
何もかもが変わった。

住んでいるところも
学校も生活も
そして一昨日柊と結ばれて
私の心と
身体も


「萌、手が止まってるよー」


隣に腰掛けたお母さんが手を伸ばして
生地の端から型を抜いていく。


「あっ、うん」


「そういえばね、お兄ちゃんて昨日も家に泊まったの?」


「!」


突然の質問に
私の心臓が跳ね上がった。

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