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禁断兄妹

第51章 口に出せない想い


「お兄ちゃんの部屋のベッドカバーとか、洗濯乾燥機に入ってたから。洗ったんだよね?」


「うん‥‥又しばらく来ないから洗うって。学校から帰ったら乾燥機から出しといてって、言われてたの」


もしお母さんに聞かれたらこう答えればいいと
柊に言われていた言葉をそのまま口にする。


「お兄ちゃんて綺麗好きだよね。そうなんだ、しばらく来ないんだ‥‥残念」


「うん」


私は顔を上げられず
抜き型を選ぶのに熱中している振りをした。


「ねえ萌‥‥お兄ちゃんを病院に連れてきてくれて、本当にありがとうね」


そしてお母さんは真面目な顔で
柊がお母さんとお父さんを許してくれたことを教えてくれた。


「私とお父さんじゃ、きっと解決できなかった。萌が絆になってくれたの。本当に感謝してる」


「そんな‥‥お兄ちゃんが‥‥優しかっただけだよ」


柊についての話題に私の心臓が持たない。
お兄ちゃん、と口にすることにも違和感を感じる。

できれば柊の話はもうしないで欲しいのだけど
お母さんは言葉を続ける。


「お兄ちゃん、又一段とカッコ良くなってたね。大人っぽくなったっていうか、逞しくなって‥‥オーラの厚みに圧倒されちゃったもの」


「うん」


「萌とお兄ちゃん、病院から一緒に帰ったけど、まっすぐ家に帰って来たの?」


「えっと‥‥海に連れていってもらった‥‥」


「えっ、海?お兄ちゃんに?!」

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