禁断兄妹
第52章 由奈
「私も一緒に仕事したことあるけど、休憩で一緒になっても、真顔でお疲れ様です~だけ。ずっと無言で携帯いじってて、近寄んじゃねえオーラ全開だった」
「あー、それわかる」
「それなのにスタジオ入ると、おはようございまっす!だからねー。笑っちゃう」
男ばかり意識してる
男の前ではキャラを変えてる
笑い声と共に楽しげに続く会話は
昔から聞き慣れた内容。
いつも
どこに行っても
女は同じ。
「あんなんだから女の友達出来ないんだっつーの」
「いいんじゃない?男さえいれば」
半笑いの声に頬が熱くなる。
彼女達の言うことが例え全て真実だったとして
いつあなた達に迷惑をかけた。
だから女は嫌い
大嫌い
オーナーに戻るまで待っていろと言われていたけれど
無理
背中を向けたドア越し
「‥‥うるっせーなぁ‥‥」
突然聞こえた低い声に足が止まった。