禁断兄妹
第52章 由奈
えっ‥‥
驚く私よりももっとパニックになっている中の女達
わーきゃー騒ぐ声とガタガタっとパイプ椅子が動く音。
「い、一ノ瀬君?!」
「やだー!いたの?!」
「気持ちよく寝てたのに‥‥うるさくて起きちまった」
のんびりとしたあくび混じりの声。
嘘
男の人が中にいたなんて
胸の鼓動が速くなっていく。
「そんなとこに隠れて聞いてないでよ!びっくりするじゃん!」
「仮眠してたらあんたらが入って来て喋り始めた‥‥隠れて聞いてた訳じゃない」
艶のあるテノールに引き寄せられて再び歩み寄ったドア
私はそっと聞き耳をたてた。