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禁断兄妹

第52章 由奈


「私、今年東京に出てきたばかりで知り合いとかもいなくて‥‥さっき聞いてたと思うけど、友達も少ないし‥‥」


明るく言いたいのに
何故か弁解じみた言い方になってしまう。


「俺付き合ってる女がいるから、同性みたいな友達にはなれないよ」


一ノ瀬君が苦笑する。



「べっ、別に二人だけで会おうとか言ってないよ!単なる友達だよ?
 ‥‥私だって彼氏いるし」


言いながらどんどん身体が熱くなって
汗が止まらない。


「ふうん」


「女は嫌いだから別にどうでもいい。でも一ノ瀬君とは、友達になりたい」


本心だった。


「‥‥君が叩かれる訳が分かってきた」


一ノ瀬君がククッと肩を揺らして笑った。


「彼女達が君を拒否してるんじゃなくて、君が最初から彼女達を拒否してるんだな‥‥それじゃ嫌われても仕方ない」


「‥‥」


「ま、女は嫌いだから別にいいのか?」


思わず落とした視線
心臓の音だけが
どくん
どくん
熱い身体中に響いて
アスファルトが少しづつぼやけていく。


―――由奈ちゃんは美人でモテていいよね―――

―――私達といるより男子といるほうがいいんじゃない?―――

小学生の時
仲間外れにされた。

―――由奈ちゃんの家ってヤクザらしいよ―――

家庭環境も噂になって男子からも引かれるようになって
中学生の時には自分から一人でいることを選んだ。

たまに話しかけてくれるのは
いつも男だった。

下心があったとしても
それでも嬉しかった。

女は嫉妬深くて非情だ。
だから嫌われる前に自分から嫌うようになった。

自分を守る為に

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