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禁断兄妹

第52章 由奈


ひらひら
舞い落ちる粉雪
手のひらに受けて携帯をかざす。

カシャッ


「由奈、何撮ってるの?」


「初雪‥‥の溶けたやつ」


「あはっ、手だとすぐ溶けちゃうよねー。ハンカチとかに受けたら?」


「ナイスアイデア美樹!」


季節は一ノ瀬君と出会った夏から秋になり
冬へ。

あの日私の陰口で盛り上がっていた内の一人だった美樹
流されて一緒になって悪口を言ってしまったと次の日謝ってきて
私も態度が悪かったことを謝って
それから仲良くなって今では大の仲良し。

―――お前は女性誌のモデルだろ。女が嫌いだなんて言ってたら必ず行き詰まる。
 お前は意外と面白いんだから、女から逃げずに踏ん張って接してみれば、もっと世界が広がると思う。
 まあ頑張れよ―――

一ノ瀬君の言葉を胸に秘め
右手を握りしめて
男女関係なく自分から話し掛けるようになってから
親しくお喋りできる人が少しずつ増えて
美樹の他にも一ノ瀬君が紹介してくれた和虎君とか
同年代の友達の輪が広がって
今はあの頃からは想像もできないほど賑やかな日々。

仕事も順調に増えて
ふらりとやって来る修斗と都合が合わないことがあるくらい
スケジュールが埋まるようになった。


「太陽が出てるのに雪が降るなんて珍しいね」


日の光を受けた雪でキラキラと煌めく青空を
もう一枚


「‥‥送信っと」


雪が好きだといつか聞いたことがある。

一ノ瀬君

あなたが広げてくれた世界は
こんなにも美しい

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