禁断兄妹
第53章 由奈~終わりの始まり~
無言のまま階段を上っていく後ろ姿
「一ノ瀬君」
私は止めていた足を一歩前へと動かした。
「私ね、今まで一ノ瀬君にいっぱい助けられてきた‥‥だから今度は私が、一ノ瀬君の力になりたい」
立ち止まり天を仰ぐ背中へ
帰り道
ずっと胸の中で繰り返していた言葉を送り出す。
「私にできることなら、どんなことでもしたいって思ってるの。だから―――」
悩みがあるならいつでも聞くから
そう続けようとした時
「やらせてくれるの」
一ノ瀬君が振り返った。
高みから私を見下ろす視線を
あからさまにショートパンツの足首まで落として
舐めるように胸元までせりあげる。
「俺を慰めたいんだろ‥‥?」
浮かべた冷笑に
既に細い目尻が闇に溶ける。
勇気を振り絞った本気の想いさえ片手で払われ
夜風に拐われていく。
「‥‥いいよ」
声が震えた。
「慰めてあげる」
あなたが
望むなら