禁断兄妹
第53章 由奈~終わりの始まり~
バサッ
ジャケットを羽織るいつもの音が聞こえた。
振り返ると
修斗が立ち上がって帰り支度をしている。
「?‥‥このご飯はいらないの?」
「飯を盛るのに何分かけてるんですか‥‥食い終わりました」
テーブルの上を見ると
お皿の上のおかずは綺麗に平らげられていた。
「‥‥ごめん」
茶碗を手に立ち尽くす私に
ネクタイを直しながら修斗が歩み寄る。
「何かありましたか。相変わらずわかりやすい人だ」
目を見られたくなくて横を向いた。
「別に。最近忙しいから、疲れてるの」
「‥‥帰ります」
玄関に向かう修斗についていきながら
「ねえ、今度から前もって来る日を教えてくれないかな」
思いきって声をかけた。
「昔は私も暇だったから、今から行っていいですかーでも大丈夫だったけど‥‥最近は私も仕事で、会えないことが多いじゃない」
修斗は週に一度はマンションへやって来るけれど
こうして会える日は最近は月に何度もなかった。
「いなきゃいないで構わない。勝手に来てるだけですから、勝手に帰るだけです」
「‥‥」
修斗がここに来る目的は
私の監視だってわかってる。
抜き打ちで来なきゃ意味がないんだろうけど
「友達が部屋に来る時もあるし」
「男はやめておきなさい」
背を向けたまま間髪いれずに返されて
言葉に詰まる。
靴を履いた修斗はゆっくりと振り返った。
「もっとはっきり言いましょうか。一ノ瀬柊は、やめておきなさい」
「‥‥!」