
禁断兄妹
第53章 由奈~終わりの始まり~
「女優とのスキャンダルもあって、あの男には今注目が集まっている。肉食系とやらで持てはやされているようですが、あなたにはイメージダウンの恐れがある。危険です」
「まさか、私を尾行してたの?!」
「する訳がない。こんな誘導尋問で簡単にわかるのに。
‥‥あの男の部屋に行ったんですか。それともホテル?」
突き刺さる冷ややかな視線
まるでベッドの中のことまで見透かされているようで
頬が熱くなる。
「変なこと言わないで‥‥柊君はただの友達だよ」
「柊君、ね‥‥」
逃れるように視線を外すと
修斗は肩が上下するほど大きく息を吐いた。
「今が大事な時だと、自分でも言っていたでしょうが。そんな腑抜けぶりでは、いずれ仕事にも支障が出る。もう会うのはやめなさい」
冷静で威圧的な声
「‥‥命令しないで」
修斗の言っていることは正しい
わかってる
わかってるけど
今は正論なんて聞きたくない。
「‥‥また来ます」
「日にちを決めたら電話して」
「しません」
修斗は事も無げにそう言うと
部屋を出ていった。
