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禁断兄妹

第53章 由奈~終わりの始まり~


『今日、来ない?』

日曜の夜
いつものようにダメもとで送信したメール

『今から行く。シャワー浴びてて』

思いがけない速攻の返信に
心臓も身体も飛び上がった。

シャワー浴びてて

柊君がよく使うその言葉を目にしただけで
まるで耳元で囁かれたかのように身体が火照る。

急いで部屋を整えて料理の下拵え
シャワーを浴び薄化粧を終えた頃
柊君がやって来た。


「久しぶりだね」


「そうかな」


どこかの店にいたのか
お酒と煙草の匂い
まだ飲み足りないのか満たされない表情
私は柊君用に冷蔵庫に入れてある缶ビールを手渡した。


「お腹、空いてる?」


「いや」


言葉がいつも以上に少なくて
纏う空気が明らかに尖っている。


「せっかく用意したから、食べて」


栄養のあるものをお腹に入れればきっと心も落ち着くはず
それから身体を満たせばいい
そう思ってキッチンに立ったけれど


「飯食いに来たわけじゃ、ないんだけど」


ビールをあっという間に飲み干した柊君は
気持ちが高ぶっているのか
キッチンで立ったまま
強引に私を抱いた。

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