禁断兄妹
第53章 由奈~終わりの始まり~
胸と胸を合わせ甘く揺られながら
死んだらもう会えなくなるよって私の言葉に
強く跳ね上がった柊君の心臓を思い出していた。
───誰に───
そう鋭く返した柊君
一瞬あの威嚇の牙が見えて
確信した。
柊君が真っ先に思い浮かべた人こそ
モエだ。
その人こそが
柊君の胸に咲く一輪の花
彼を光り輝かせ
彼を苦しめ傷つける
この世にたった一つの
かけがえのない花
「柊君っ、柊く‥‥ン‥‥ッ!」
登り詰めていくほどに浮き上がり
柊君と離れてしまいそうで
強くいきみしがみついた。
「はっ‥‥すごい締めつけだな‥‥」
荒い息を吐きながら不敵に微笑む柊君
「望むところだ‥‥」
「きゃっ、あッ、ああ‥‥っ!」
柊君
王子さまは旅をするうちに
一度は別れたその花が
どんなに大切だったか気がつくの
花が恋しくて
会いたくて
仲良しの飛行士が止めても
星へと帰るの
重たい身体を残して
花のもとへと
帰るの