禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
「補佐になってから二年も経たずに若頭ですから、すごいですよ。あの若さですし、異例のスピード出世です」
修斗のことを話すのは嬉しいらしく
ツトムさんは誇らしげに話を続けた。
「カシラが今見てる三店舗、どれも景気いいんです。これはカシラの手腕だと会長も認めてます。その売上をガッツリ組に入れてますから、組への貢献度も絶大ですし、あの通り男気もある方なんで、総本部からも注目されてるんですよ」
「へぇ‥‥」
「‥‥すみません、嬢はこういう組の話、嫌いでしたね」
ツトムさんが苦笑する。
「え?そんなことないけど‥‥」
顔に出てるんだろうか
私は頬を押さえた。
「なんだか‥‥中身は変わってないみたいですね‥‥」
ツトムさんは一人頷くと微笑んだ。
「うーん‥‥あんまり成長してないかもね」
やっと笑ってくれて
ほっとした私も微笑みを返した。
「変わったのは、カシラなのか‥‥」
独り言のような呟き
「え?」
「まあ、もうすぐ来ると思いますよ。どうぞ酒でも飲んで待ってらして下さい。もうハタチになりましたよね?」
「あの、お酒も何にもいらないからね、修斗に挨拶したら、すぐ帰るから」
あれ以来お酒を飲む気にはなれなかったし
長居するつもりもなかった。
「嬢の為なら、何でも用意させますよ」
ツトムさんが優雅に手をなびかせて私を店内に誘う。
床の厚いカーペットがふわふわ心地いい
私は案内されるまま奥のVIPルームへ座ってしまった。