禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
気力も体力も使い果たして
ビルの裏手に停めてあった車に押し込まれた。
「必ずマンションから二十メートル以上は離して、前後左右、無人を確認の上停めろ。降ろしたらその場を離れてから俺に電話しろ‥‥」
運転席に座る若い組員に細かく出される指示
きっと今までもこんな風に
細心の注意が払われていたんだろう。
修斗が
そうさせていたんだろう。
指示の確認を終えると
ツトムさんは黙ったまま
投げ出していた私の手を膝の上に集め
両手で包むように強く握った。
「出せ」
ドアを閉めた車がゆっくりと動き出す。
サングラスをかけておいて本当に良かった
涙が
止まらない。
修斗
あんな小芝居でも
少しはあんたの顔が立つかしら
会長の権力を笠に着た小娘
それに我慢していた忠義心の強い若頭
そんな筋書きよ
車窓を流れていくネオン
揺れて
滲んでいく。