禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
後ろから鳴らされるけたたましいクラクション
苛立たしげな舌打ちと共に車は走り出し
窓の外
さっきまで運転席にいた若い組員の深く頭を下げている姿が
あっという間に小さくなっていく。
「克也は降ろした‥‥口止めして、自宅待機でもさせとけ‥‥」
取り出した携帯へ肩で息を繰り返しながら一方的に告げる修斗
バックミラーに切り取られた睨みつけるように前を見つめる険しい目元に
乱れた黒髪が散って
額には
冬だというのに汗が滲んで
「‥‥さっきの威勢は、どうしました‥‥」
電話を終えた修斗は
荒い息のまま吐き捨てるように呟いた。
首を振り
乱暴にネクタイを緩めた手を
そのままバックミラーに伸ばし角度を変えたせいで
もう修斗の顔は映らなくなった。
「出てこいと言うから出てきたのに‥‥何とか言ったらどうです」
車内に響くほどの修斗の息遣い
私まで全力疾走したように心臓が波打ち
息が苦しい。
「‥‥本当に出てきちゃ、ダメじゃない‥‥お芝居が台無しだわ‥‥」
私はやっとのことで口を開いた。