禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
「ねえ修斗‥‥私はね、あんたに謝りたくて、今日は店に行ったの」
「‥‥」
「この前はごめん。私、最低な態度だったよね‥‥反省してる‥‥本当にごめんなさい」
私は正面に向き直ると
修斗の背中に頭を下げた。
会いに来たのは
謝る為とお礼を言う為
修斗のいつもの調子に飲み込まれちゃいけない
「私、バカだからさ‥‥修斗が私を心配してくれてたなんて、私の夢を応援してくれてたなんて、思いもしてなかったの」
本当は
今もまだ半信半疑
目に見えるこの冷たい尊大な態度が
修斗の全てに思えてしまう。
「お金のことも何にも知らないで、いつも生意気なことばかり言って‥‥修斗がイラつくのも無理ないと思う。
‥‥本当にごめんなさい」
―――最近、嬢のとこに行く度にカシラの機嫌が悪くなって‥‥―――
ツトムさんから聞いた事実
今も胸が痛い。
「修斗、今まで本当にありがとう」
更に深く頭を下げた私の耳に
「まるで別れの言葉だ‥‥言ったでしょう。俺は役目を降りたりはしない」
抑揚のない無表情な声が聞こえた。
「嬢が生意気で鈍感で恩知らずなことぐらい、昔からわかってる‥‥今更、謝罪も感謝もいらない」
顔を上げた私に容赦のない言葉が飛ぶ。
でもこれは口だけで心は違うと
わかってる
わかってるけど
そんなきつい言葉を投げつけられると
また修斗がわからなくなる。
優しい言葉をかけて欲しい訳じゃない
ただわかりあいたいだけなのに
どうして私達は
いつもこうなんだろう