禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
「役目、役目って‥‥よくわからないよ‥‥っ」
「別にわからなくてもいいでしょう‥‥俺はどうせ、あなたの大嫌いなヤクザだ」
「‥‥」
修斗の真心
建前
本音
体面
私が子供だからわからないんだろうか
もっと大人になればわかるんだろうか
「‥‥っく‥‥」
悔しさにも似た感情が込み上げて
また涙が零れそうになる。
私は唇を噛み締めて
手にしたままだったサングラスをかけようと俯いた。
「そんなもの、かけるな‥‥‥」
ため息のような囁きと共に身体ごと振り返った修斗が
長い手を伸ばし
私の顔からやんわりとサングラスを奪った。
「顔が見えなくなる‥‥」
黒髪の狭間に光るその鋭い瞳と
一瞬視線が絡んで
ほどけるように離れた。
取り上げたサングラスを修斗は助手席に放って
青に変わった信号
車が走り出す。