禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
───橘(たちばな)修斗です。お初にお目にかかります───
入院先の病院に
おじいちゃんが最近入った若い者だと連れてきた修斗
お前の側につけるから
年も若いし友達だと思って仲良くしたらいい
話もできるし犬よりずっといいぞ
そんなようなことを言われたけれど
礼儀正しいようでいて
秘めた獰猛さが陽炎のようにその身体から立ち上って見える男
若いと言ってもかなり年上に見えたし
鋭い瞳は私をじっと見据えてにこりともしない。
三度目を図らないように
この番犬のような男が側につけられたのは明らかだった。
「じゃあ後は若い者同士で、お喋りでもしたらいい」
お見合いのような言葉を残しておじいちゃんが帰ってしまうと
二人きりの個室は無機質に静まり返って
雨の音だけが響いていた。