禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
「修斗。思い出させてくれてありがとう」
修斗は返事をする代わりに
顎を上げ髪をかきあげた。
「あなたを一人前にして、檻から送り出す‥‥」
深いため息と共に吐き出された声
「そう決めてる‥‥」
自分に言い聞かせるような言葉は
修斗の責任感なのかな
そう思ったら
「だからとっとと夢を叶えて、金を倍にして返して下さい」
いつもの尊大な態度に戻った。
「‥‥はいはい、お金はもう少し待っててね。あ、今日ご飯食べていく?」
「仕事があるので帰ります」
「そう。たまには外でと思ったんだけど‥‥すごく美味しいお店知ってるの」
「俺なんかと一緒にいるところを見られたら、絶対に駄目だ」
修斗の声が急に厳しいものに変わった。
「別にわからないと思うけど」
「わかる奴がいたらどうします。ヤクザとの関わりは芸能人に珍しくない話ですが、人気モデルとしては命取りになりかねない」
「それくらい、わかってるよ」
「わかってないから、そんなのんきなことを言う。今日の猿芝居もそうだ。俺は今まで細心の注意を払ってきたつもりだ‥‥無駄にするな」
低く唸るような威圧的な口調に気圧される。
「はーい‥‥」