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禁断兄妹

第57章 会いたかった


「和虎さんもモデルさんなんでしょう?萌ったらイケメン二人に囲まれちゃうのねー」


あらかじめ柊はお母さんに
和虎さんは自分と家族とを繋ぐ架け橋になってくれた恩人みたいなものだと
私と柊が結ばれたことを伏せただけで
その他は全部事実のままを伝えていた。


「和虎が萌を気に入って会いたがってるから。お礼の意味でも、一度飯を奢らないとな」


───二人だけの秘密以外のことなら、聞かれたら話せばいい。嘘をつく必要はない───

柊はその言葉通り本当に自然体で
お母さんの問い掛けに何でも答えてあげている。

柊の心臓は何で出来てるんだろう

綺麗な横顔をそっと盗み見る。


「萌はイケメンにモテるわねー。あのカッコいいコンシェルジュさんとも仲良しだものね」


「!」


柊の瞳が光った。


「柊君も見たことない?灰谷さんっていうすごく体格のいいコンシェルジュ。私もよく話をするんだけど、礼儀正しくて優しい人でね。ああ見えてスイーツ男子らしくて、萌とはレシピやお菓子を交換したりするスイーツ仲間なのよね」


「お、お母さんっ」


仲間は言い過ぎだと思う。


「あの後ろで束ねてる髪形が、プロレスラーって感じよねー」


「格闘家だろ」


「え?」


ずっとプロレスラーだと思ってたと言うお母さんに
相変わらずボケてるなあ、と柊は笑ったけれど
その瞳は笑っていない。

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