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禁断兄妹

第57章 会いたかった


窓際に寄せて置かれた
六名ほどが着席できるテーブル

二対一で向かい合うように作られた席の中央には
キャンドルや瑞々しい生花まで飾られていて
萌を喜ばせる。


「素敵でしょ。さ、座ろっ」


和虎に従って
俺と萌が並んで座り
向かいに和虎


「三人でゆっくりお喋りしたいし、店の人も二階まで行ったり来たり大変だろうから、コースにしないで最初から全部並べてもらうことにしたから。何かあれば俺が下に取りに行く。それでいいよね?」


俺と萌の関係を考えて
店員の出入りを気にせず過ごせるようにと考えたんだろう
和虎らしい気配り


「ああ。俺は飲めればそれでいい」


「そう言うと思った。ドリンクもオーダーの手間をかけないように、俺達はボトルワインでいいよね。萌ちゃんは飲み物何がいい?」


俺は店員から受け取ったメニューを萌の前に広げて見せた。


「お水が、いいです」


「遠慮しなくていいからね。今日の仕切りは俺だけど、お会計は全部柊兄だから。高いジュースとか頼んじゃいなっ」


「‥‥だってさ。何がいい?」


「んー、でも‥‥」

 
「そうだな‥‥フレッシュストロベリージュースは?苺好きだろ。飲んでみたら?」


遠慮しているのか頷かない萌の顔を覗きこむと
ワクワクと期待に輝く瞳で俺を見る。

飲みたいんだな

可愛い


「はい、姫に生イチゴジュース、一丁!!」


すかさず声をあげた和虎に萌も店員も笑って
部屋に温かな空気が満ちる。


「それでいい?」


俺の言葉に首をすくめるように頷く萌
そのはにかむ薔薇色の頬に触れたくなって
つい持ち上げてしまった右手のやり場に困り
俺は髪をかきあげた。

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