禁断兄妹
第57章 会いたかった
「じゃあ、乾杯しよっか。グラスを持って下さーい」
前菜やサラダを並べ終えた店員が一旦部屋を出ていったタイミングで
和虎はグラスを掲げた。
「萌、ここを持つんだよ」
「こう?」
「ちょっと違う。この指を‥‥」
「はいそこイチャイチャしなーい」
即座に突っ込まれた俺と萌は顔を見合わせて笑い
そしてグラスを掲げた。
咳払いを一つした和虎
穏やかに微笑んで萌を見る。
「萌ちゃん。今日は来てくれてありがとう。
又会おうって、俺この店の一階で言ったよね。それがこんなにすぐ叶って嬉しい。しかも柊兄の彼女として、君はここにいる。本当に本当に嬉しい」
晴れやかな声
瞬きもせず和虎を見つめる萌は
きゅっと唇を結んで凛とした横顔
「柊兄は君がいなけりゃ、ダメなんだ。
‥‥柊兄を、よろしく頼みます」
和虎は静かにそう言うと頭を下げた。
「はい‥‥っ!」
はっきりと声を出し
更に背筋を伸ばした萌も
ぺこりと頭を下げた。