禁断兄妹
第57章 会いたかった
箸で食べるカジュアルな創作フレンチ
大皿に盛られ運ばれてきた料理を和虎は器用に取り分けていく。
「萌ちゃんは好き嫌いないから偉いよね。柊兄に盛るのは気を使うよー」
そう言いながら俺の前に置いた皿には
これ見よがしにピーマンがてっぺんに乗せられていた。
「ある意味気を使ってるな‥‥お前絶対探して盛っただろ」
その皿を萌の方へ押しやると
萌は笑いながら俺の前に戻す。
「しゅう‥‥」
俺の名を呼びかけて
やめて
「‥‥美味しいよ、食べてみたら?」
「あれ、今、柊って言った?」
目を輝かせ
ワーオ呼び捨て?と両手を口に当てる和虎
俯く萌の耳が赤く染まる。
可愛い
俺はその頭に手を置いた。
「萌、和虎の前ではいつも通り名前で呼んでいいから」
「名前で呼んでるなんて可愛い!ねー萌ちゃん、俺も呼び捨てにして?和虎って、ちょっと言ってみてっ」
「え、えっ?」
「ほら早くー!」
動揺して和虎と俺を交互に見る萌
ちょこまかとした動きが可愛い。
「ダメ。萌が呼び捨てにする男は、俺だけ」
「何それ、束縛きっつー」
「束縛?‥‥そうか?」
俺を見上げた萌に問い掛けると
萌は少しの間の後首を振った。
「私も‥‥柊が他の女の子を呼び捨てにしてるのを聞いたら、嬉しくない、かも‥‥」