禁断兄妹
第57章 会いたかった
考え考え言葉を紡いでから
恥ずかしくなったのかジュースをごくごくと飲む萌
不意打ちでくすぐられた胸がむず痒い。
「萌ちゃん素直!可愛い!」
和虎がきゃっきゃと盛り上がる。
「和虎も萌の前で気を使うことないから。いつものしゃべり方でもいいし、好きにやってくれ」
「え‥‥?」
すべすべとした髪に包まれた萌の頭を撫でながら
「なあ萌。和虎が女っぽい言葉を使って話そうが、男っぽい言葉を使って話そうが、どちらでも構わないだろ?」
萌が大きく頷く。
「和虎は、和虎だもんな」
「うん」
萌は俺から和虎に視線を移すと
にこやかに頷いた。
微笑み返した和虎がテーブルに視線を落とす。
「‥‥ありがとう。なんだか胸がいっぱいになった」
穏やかにそう言うと顔を上げて
「じゃあ、アタシも萌って呼んでいい?だって柊兄との会話ではずっとそう呼んでたんだもーん。ね、萌っ!」
急に変わった声のトーン
想像以上だったのか
呆気に取られ固まった萌の顔がおかしくて
「もしもし萌?お口開いてるわよー」
和虎と俺は笑いだし
遅れて萌も
部屋は陽気な笑いに包まれた。