禁断兄妹
第57章 会いたかった
「───萌にあれも話していい?柊兄のツブツブ伝説っ」
「話すなって言っても話すんだろ」
和虎は最初の言葉通り
俺のネタを次々と萌に披露する。
萌も喜んで聞きたがるから
俺はすっかり和虎のトークの餌食だ。
萌の笑顔は見飽きないからいいけど。
「前にね、朝まで飲んで柊兄がどろっどろに酔った時があって。目とかしょぼしょぼで、むせるような咳したりして、本当おじいちゃんみたいでね」
和虎が始めたガクガクとした動きに萌が笑いだす。
「そんな動きする訳ねーだろ」
「記憶ない人は黙っててっ。でね、揺れてる手のひらにシャッ‥‥シャッ‥‥って力なくツブツブ出してさあ。それを目の前にあった水で、薬みたく飲んだの。意味わかんなくない?!あの時ママと死ぬほど笑ったわー」
和虎が話す俺についてのネタはことごとく萌のツボにはまり
もともとよく笑う萌は笑いっぱなしだ。
ぷくっと盛り上がったままの
艶やかな頬が可愛いくて
「そんなに可笑しい?」
光を弾くその肌を指でつついた。
「うん!すっごく面白い!学校の友達とかにも教えたい!ねえ教えてもいい?」
「はあ?!」
思わず目を剥いた俺に和虎が手を叩いて笑う。
「そーよ萌、みんなに教えてあげなよ!柊兄、親近感アップでもっと人気でるよ!」
「適当なこと言うな!
‥‥萌、俺を本当に笑い者にする気?絶対ダメ」