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禁断兄妹

第57章 会いたかった


吸い寄せられるように静かに重ねた唇
啄むような口づけを繰り返して萌の緊張が解けた頃
俺は顔を真横に倒し
軽く閉じられていた小さな唇を割った。

一息に萌の全てを深くさらう。


「ンッ‥‥」


微かに漏れ聞こえた甘苦しい鳴き声が
胸を焦がす。

冷たく滑らかな萌の口内は
どこもかしこもフランボワーズの甘酸っぱさ
熱い舌をくまなく這わせ
味わいながら愛撫するほどに
二人の温度が混じりあう。

弾む吐息が重なっていく。


「‥‥今日は萌の笑顔をたくさん見れたし、楽しみな夢も聞けた。最高の夜だ」


心のままに囁いて
小さな顎を包んでいた手を滑らせて萌の片手を取り
指を絡めた。

僅かに開いた潤む瞳が柔らかに微笑む。


「階段のお話‥‥大事にしてたお話を私にも教えてくれて、ありがとう」


「萌に伝えたこと、きっと母さんも喜んでる。
 ‥‥名前は、夏巳だよ」


あの夜は口にできなかった名前
自然と零れ落ちた。


「夏巳さんは、本当に素敵な人ね。心から感謝したい‥‥柊を生んでくれてありがとうって」


その言葉に
俺の中の何かが溶けていく。

それが目から滲んでしまいそうになる。


「もっとキスさせて萌‥‥あと一分ある」

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