禁断兄妹
第58章 嵐の夜
考えるより先に身体が動いた。
床のバッグに飛びつき掴み出した携帯
うずくまったまま通話を押し
息を整えた。
「‥‥お疲れ様‥‥っ」
「お疲れ。‥‥起きてたか?」
柊君
今一番聞きたかった声
「起きてたよ‥‥部屋にいる」
「‥‥風邪か?鼻声だ」
「え‥‥ううん。元気っ」
濡れている頬を拭った。
「そうか」
声を聞くのは手の中のウサギをもらった日以来
第一声を聞いた時から感じていたけれど
優しい
落ち着いた暖かみのある話し方
出会った頃の柊君のようだと思った。
「こんな時間に悪いんだけど、今から行ってもいいか」
「えっ‥‥」
「会って話したいことがあるんだ。少しだけ時間をくれないか」