
禁断兄妹
第59章 嵐の夜②
「だらしない生活をしてたけど、そういうのはもうやめた。今までお前を振り回して、すまなかった」
深々と頭を下げる柊君が
いつの間にか顔を上げていた私の目に映っている。
胸のざわめきも
今はしんと静まって
「迷惑かけたし、世話になった。謝って済むことじゃないってわかってるけど‥‥ごめん」
頭を下げたまま動かない柊君
私も動けない。
何だろう
テレビ観てるみたい
手を伸ばしたら柊君のコートに触れた。
柔らかな手触り
そっと引っ張ると柊君が静かに顔を上げた。
今日初めて目が合った瞳
綺麗
澄んでいる
「‥‥モエ‥‥?」
口をついて零れた名前に
柊君の瞳が見開かれ瞬いた。
その瞬間
私は何もかもわかってしまった。
昏い眠りから覚めた柊君がここにいる理由
優しい声
穏やかな表情の理由
それは
「彼女は、モエでしょう‥‥?」
