禁断兄妹
第60章 嵐の夜③
泣きすぎて朦朧とする頭
やっとのことで窓を開け
ウサギと一緒に小さなバルコニーに出た。
ここは六階
真下はアスファルト
中学生の私のように仕損じたりはしない
とめどない荒い息が
冷たい風にさらわれていく。
まだ濡れたままの髪が冷えていく。
柊君が来る前に急いでシャワーを浴びておいて良かった
綺麗な身体で行ける
「星が見えるねえ‥‥」
身体も声も震えた。
修斗
私の夢はあんたの夢だったのに
こんなことになって本当にごめん
そういえばさっき何も謝ってなかった
あんたには最後まで迷惑かけてばかり
死んで詫びるわ
だから許して
胸の高さの手摺
左手にウサギを握ったまま右手だけで掴んで
下を見下ろすように身体を乗り出し
地面を強く蹴った。
「はあ‥‥はあっ‥‥」
だめ
手足に力が入らない
何度蹴っても重たい身体はただ手摺にぶつかり前へと揺れるだけ。
こんな高さも越えられない
涙が暗闇に落ちていく。
何度目かでやっと手摺にお腹が乗った。
「はあっ、もう少し、はあっ」
「手伝いましょうか」
真後ろから声が聞こえた。
振り向く間もなく襟首を掴まれた私の身体は
物凄い力で部屋の中へ投げ飛ばされた。